ろ過マイスター

液体のろ過、純水など、元フィルターメーカーの営業マンが情報を発信するブログ

【納期遅延】日本ポール製 フィルターカートリッジの相当品について考える

新型コロナが流行り出した頃から、日本ポール製フィルターカートリッジの納入状況が思わしくなく、その状況がいまだに続いています。

製品によっては、納期1年以上ということもあり、生産現場では困っている方がたくさんいらっしゃることでしょう。

納期が遅くなっている理由はよく分かりませんが、原材料が不足しているのかもしれないですし、日本市場をあまり重要視していないのかもしれませんね。

生産現場でフィルターカートリッジを切り替えることは、工程変更になるため、納期が遅延してしまうと生産が停止してしまうリスクがありますよね。

個人的には、日本ポールのカートリッジが突出して何か良い部分があると感じないため、供給に不安があるなら早めに手を打っておいた方がいいのでは、と感じています。

今回は、現場でよく使用されている日本ポール製カートリッジの解説をしつつ、代替できそうな製品もご紹介させていただきます。

■この記事を書いた人■
元水処理・フィルターメーカーの営業マン。15年間の勤務経験を活かし、ろ過や水処理について情報を発信中。現在は、フリーで工場のろ過、水処理のコンサルタントを行っている。

ネクシスNXA

ネクシスは客観的にみても、低価格で高品質のフィルターカートリッジです。使用されている工場も多く、納期遅延で困られている方も多いのではないでしょうか。

  • 材質:ポリプロピレン
  • ろ過精度:0.5~120ミクロン
  • 価格帯:1,000~1,500円/250mm

1,000円前後のフィルターカートリッジとしては、ろ過精度は良い方でカタログ値では

NAX0.5(0.5ミクロン)⇒0.5ミクロンの粒子 補足率99.9%

となっています。

う~ん、正直なところフィルターメーカーによってテストの方法も違うので、この数字を100%信じていいのかは何とも言えません。←察してください

あと日本ポール製カートリッジ全般に言えることですが、圧力損失が大きいです。

参考までに(各社1ミクロンで比較)

  • ネクシスNXA1μ⇒5L/min(0.03MPa
  • ゼット工業ZMB 1μ⇒5L/min(0.0008MPa
  • JNC CP-2 1μ ⇒ 5L/min(0.0005MPa

ろ過精度によって、圧力損失も違うので一概には言えませんが、

圧力損失が大きい⇒流量を確保できない⇒ろ過面積を増やすため本数を増やす⇒ハウジングが大きくなる⇒ポンプも大きくなる

ろ過精度が必要であれば致し方ないですが、個人的には若干ろ過精度が下がったとしてもろ過流量(処理量)多くした方が良いと考えています。特に循環ろ過の場合は。

相当品は下記から検討してみてはいかがでしょうか。

(保証する内容ではないので、テストしてみてくださいね。)

  • ゼット工業⇒ZMB
  • JNCフィルター⇒CP2
  • ダイワボウ⇒セキソウ
  • ロキテクノ⇒SLタイプ

ろ過精度、圧力損失を比較して、一番近いのはロキテクノのSLタイプですね。

プロファイルⅡ

ネクシスより高グレードのプロファイルⅡも日本でよく使用されています。

  • 材質:ポリプロピレン
  • ろ過精度:0.3~120ミクロン
  • 価格帯:3,000~4,000円/250mm

ろ過精度は良いですが、こちらも圧力損失が大きく高流量を求める工程では使用しにくいですね。イメージは低い流量を安定的に流しながら、ろ過精度を確保するという感じです。

同じような製品は、なかなか見つからないので、選定するならプリーツカートリッジを考えることになります。

日本ポール製フィルターカートリッジの値上げ

数年前から日本ポール製カートリッジの値上げが続いていますね。日本ポールに限らずほとんどのフィルターメーカーが値上げしているわけですが、日本のメーカーと日本ポールでは値上げの姿勢が違います。

  • 日本のフィルターメーカー:ユーザーと価格調整し歩み寄る
  • 日本ポール:値上げを認めないなら販売できない

いかにも外資系の企業という感じですね。どちらが良いとか悪いとかという話ではないですが、製造現場としては冷たく感じますよね。

世界的に使用されているので、日本ポールのフィルターカートリッジが優秀なのは分かりますが、価格の高騰、納期の遅延を考えれば、日本のフィルターメーカーの採用を考えてもいいのではないでしょうか。

フィルターカートリッジの選定で考えていること

仕事柄、たくさんの方からフィルターカートリッジの選定について相談を受けますが、ほとんどの方が、「ろ過精度」のことを言われます。

例えば「もっと細かい粒子を補足したいからミクロン数を小さくしたい」という感じで。

確かにこの考え方も理解できますが、状況によりろ過精度よりもろ過流量を増やした方が効果的な場合もあります。

特に循環ろ過の場合は、ろ過精度を気にするよりもろ過流量を増やした方が効果が大きいこともあります。ろ過流量が少ないと、いくら精度の良いフィルターカートリッジを使っても補足する機会が少ないので、あまり効果的ではないです。

日本ポールからの切替をご検討の方は、ぜひ、ろ過流量にも目を向けて検討してみてください。

以上、最後までお読みいただき、ありがとうごうざいました。

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