※この記事を読んで分かること☝
- フィルターカートリッジのろ過精度の考え方
- 公称精度と絶対精度の違い
- フィルターカートリッジの価格帯
工場で色々な方と話をしているとフィルターカートリッジのろ過精度について、勘違いをされている方が多いと感じることがあります。
その勘違いというのは、「1ミクロンのフィルターカートリッジを使用すれば1ミクロン以上の粒子を補足できる」と思っているところです。
つまり、フィルターメーカーが1ミクロンと設定しているカートリッジだから、1ミクロンの粒子を補足できるフィルターカートリッジと理解している方が多いということですね。
まぁ普通は、1ミクロンと言っているので、1ミクロン以上の粒子はとれるだろうと思いますよね。
でも、この考え方は違っていて、結論を言うと1ミクロンのフィルターカートリッジを使用しても、1ミクロン以上の粒子はたくさんすり抜けています。何を言っているのかよく分からないですよね。
この記事では、フィルターカートリッジのろ過精度について、詳しく解説していますので、これからフィルターを選定する際のお役に立ててください。
フィルターカートリッジの公称精度と絶対精度
フィルターカートリッジは、大きく分けて下記の2つがあります。
- 公称精度
- 絶対精度(アブソリュート)
公称精度というのは、簡単に言うと実際のろ過精度は関係なく、フィルターメーカーの基準で精度を決めている製品。
絶対精度というのは、基本的に表示しているミクロン数以上の粒子をほぼ100%補足できるもの。
公称精度とは
公称精度というのは、簡単に説明すると、そのカートリッジを販売しているメーカーが、「このカートリッジは1ミクロン」と言えば、実際のろ過精度に関係なく、1ミクロンを表記できるということです。
あくまでメーカー独自の基準値であり、その精度を保証するものではありません。
一般的なろ過精度(1循環時の粒子捕捉率 1ミクロンのフィルターを使用して、1ミクロンの粒子を補足できる率)
- 500~2,000円のカートリッジ:20~40%
- 2,000~4,000円のカートリッジ:70~80%
- 4,000円以上のカートリッジ:80%以上
正直、数百円のカートリッジだと1ミクロンでも10ミクロンでも、それほど差はないです。ろ過精度を気にするのであれば、最低でも2,000円以上のフィルターカートリッジを選定する必要があります。
絶対精度とは
絶対精度とは、公称精度とは違い理論上100%の捕捉率です。
(ハウジングの性能により、100%とならないケースもありますが。)
一般的には、メンブレン(メンブラン)フィルターと言われるものであり、ろ過精度は0.1ミクロン、0.2ミクロン、0.45ミクロンの3ラインナップが多いです。
価格は非常に高額で、250mmのカートリッジ1本で10,000円以上します。半導体など精密部品の洗浄や食品の最終ろ過に使用されたりします。
一般的な工場の工程で使用されることは少ないですね。
ろ過精度よりも、ろ過量(処理量)の方が重要
これまでのろ過について、非常に多くの相談を受けてきましたが、ほとんどの方がろ過精度を気にしています。「このフィルターカートリッジで1ミクロンの不純物が補足できるかな」「もっと良いろ過精度にしようかな」という感じで。
もちろん、ろ過精度も重要ですが、これまでの経験でもっと重要と感じているのが、ろ過量(処理量)です。
例えば、ろ過量が少ないと
- 大きなハウジングが必要
- 循環ろ過の場合、異物を除去できるまでに時間がかかる
といった問題が生じます。カートリッジフィルターを選定する際は、ろ過精度と合わせて、ろ過量の確認も忘れずに考えるようにしてください。
特に公称精度のカートリッジを使用する場合は、ろ過精度よりもろ過量重視です。これは忘れずに覚えておいてくださいね。
フィルターカートリッジのろ過精度 まとめ
フィルターカートリッジの選定は難しいですよね。
- 価格
- ろ過精度
- メーカー供給体制
- ライフ
- etc
などなど、考えなければならないことがたくさんあります。ただ、一つ言えることは、ろ過精度は、価格に比例するということです。
時々、ろ過精度を上げたいといった相談をいただきますが、多くの場合は、今使用しているフィルターカートリッジの目を細かくしようと考えています。
要するに今5ミクロンを使用しているから1ミクロンにしたい、といった感じで。でも数百円レベルのフィルターカートリッジの目をいくら細かくしても、ろ過精度に大きな差は生まれないです。「じゃあなんのためにミクロン数でわかれているんだ?」と言われそうですが、実際そうなんです。
ろ過精度を上げたいなら、今よりも価格の高いものを使用してければなりません。
フィルター選定の考え方は
<公称精度の安価なもの(数百円)>
どのメーカーのものも性能に大差はないですね。価格重視で考えれば良いと思います。ただ、昨今の原材料不足により供給不安が生じているメーカーもあるので、価格+供給体制で検討されることをおすすめします。
<公称精度の高価なもの(数千円)>
数千円のグレードのものは、メーカーによって性能に差があるので、慎重に検討する必要があります。きちんとしたメーカーであれば、ろ過精度表を持っていますので、開示してもらいましょう。高精度になると圧力損失が大きくなり、ろ過量(処理量)に問題のあるフィルターカートリッジが存在します。
圧力損失も検討の材料にしてください。(数百円の公称精度のフィルターカートリッジは圧力損失がほとんどありません。)
<絶対精度のもの(数万円)>
扱っているメーカーは限られますので、無名のメーカーで絶対精度と言われた場合は疑ってかかった方が良いですね。特に変に安価なものは要注意です。
絶対税度のフィルターカートリッジを使用する生産工程は、間違いが許されないと思いますので、慎重に選定するようにしてください。
この記事では、フィルターカートリッジのろ過精度について解説させていただきました。ぜひ、今後の参考にしてください。
以上、最後までお読みいただき、ありがとうございました。