さて、今回は純水装置の前ろ過について解説します。
その前に純水装置の種類について簡単におさらいしますが、純水装置は大きく分けて
- イオン交換樹脂を用いた純水装置
- 逆浸透膜(RO膜)を用いた純水装置
の2種類あります。それぞれに特性があって、前ろ過の考え方も異なるため、フィルターなら何でも良いということではないです。
この記事では、イオン交換樹脂を用いた純水装置の前ろ過について書かせていただきます。(当初は、RO膜式の前ろ過も書こうと思いましたが、思いのほか長くなりそうなので、別記事にします。)
イオン交換樹脂を用いた純水装置の前ろ過
イオン交換樹脂タイプの純水装置といっても種類はたくさんありますが、一般的な純水装置は、オルガノさんや栗田工業さん、日本錬水さん(今社名変わっています)などが販売している昆床式の純水装置です。
塩酸や苛性ソーダを使用して自動で再生する自社再生式やイオン交換塔を引き取って再生してもらう引取再生式があります。
イオン交換樹脂タイプの純水装置に求められる前ろ過の役割は
- 異物の除去
- 水道水中の塩素の除去(水道水の場合)
- 有機物質の除去(工業用水や井戸水の場合)
です。
<異物の除去>
工業用水や井戸水に異物が混入していることは、どなたでもイメージすることができると思いますが、水道水にも異物は存在しています。とは言っても水道法で決められた基準があるため、基本的には問題になるような異物は水道水にはありません。
異物の除去ということで、前ろ過が必要なのは工場用水や井戸水です。
特に井戸水は、地域によって差はありますが、井戸水中に溶け込んでいる鉄やマンガンなどが、酸化されて固形化することがあります。
これが純水装置に入り込むと装置の不具合を引き起こすため、前ろ過で除去する必要があります。
イオン交換式純水装置 前ろ過のオススメフィルター
水道水
- 基本的に異物除去のフィルターは不要
工業用水・井戸水
糸巻きフィルターカートリッジは、たくさんのメーカーで取り扱われていますが、純水装置の前ろ過であれば、どこのメーカーでも問題ないですね。
糸巻きカートリッジを選定する理由は、ろ過制度を確保しながら異物を除去できる量も積層タイプと比較して多いので、前ろ過としてはオススメです。
出入りしている業者さんへお願いすれば簡単に手に入りますが、お試しで試すのであれば、ネットでも購入できます。
<水道水中の塩素の除去>
水道水には、殺菌を目的として塩素が添加されています。この塩素ですが、イオン交換樹脂(強塩基イオン交換)を劣化させる作用があるため除去した方が良いです。
(水道水の塩素は、高濃度ではないので、イオン交換樹脂に与える影響は小さいですが)
塩素は、活性炭で簡単に分解できるので、純水装置の原水として水道水を使用する場合は、前ろ過として活性炭フィルターをご利用ください。
活性炭を触媒として、塩素を分解するので、活性炭の効力は長期間にわたって続きます。
<有機物質の除去>
水道水には塩素が添加されているため、有機物質はほとんど存在しません。一方、工業用水や井戸水には、有機物が存在しており、純水装置の前ろ過で除去することが必要です。
有機物を除去した方が良い理由は、純水の純度を上げること以外にイオン交換樹脂の保護という目的もあります。有機物質は滞留すると繁殖し増加します。純水装置内で有機物質が繁殖すると処理水質の悪化と処理水量の低下を招く可能性があります。
有機物質の除去には、活性炭カートリッジを用います。ただ、塩素の分解と違い有機物質を吸着させ除去するため、定期的な交換が必要です。
参考フロー
純水装置(イオン交換式)の前ろ過 まとめ
純水装置の前ろ過について、これまでたくさんの相談を受けてきましたが、基本的な考え方は、「高額なフィルターは必要ない」ということです。
装置メーカーによっては、前ろ過に高額なフィルターをセットしている場合もありますが、イオン交換樹脂タイプの純水装置であれば、不要ですね。
現在
- 高額なフィルターを使用している
- 積層タイプのフィルターを使用している
- 前ろ過をしていない
と言う方は、ぜひ、前ろ過のフィルターを検討してみてください。
以上