私たちが普段飲んでいる水道水には、衛生管理のために「残留塩素」が含まれています。塩素は細菌の役割を果たしており、公共の水道管理において非常に重要な存在です。
しかし一方で、塩素は特有のニオイ(カルキ臭)や味の違和感があります。また魚を飼っている水槽の水として使用する場合、残留塩素は魚に良くない影響を与えます。
このような背景から、「できるだけ塩素を取り除いた水を使いたい」と考える人が増えており、特に飲料水、赤ちゃんのミルク、ペットの水やアクアリウム用途では、残留塩素を除去することが重要視されています。
(浄水器やウォーターサーバーが流行っているのも、こういった理由ですね)
この記事では、水道水から残留塩素を除去する代表的な方法と、それぞれの効果・メリット・注意点を詳しく解説していきます。
水道水に含まれる残留塩素とは?
日本の水道法では、水道水には最低でも0.1mg/L以上の残留塩素が必要と定められています。これは、配水管を通じて各家庭に届くまでの間に、水質が悪化しないよう維持するためです。
残留塩素は、水道水の安全性を担保するうえで欠かせない成分ではありますが、一方で長期間の摂取や高濃度な曝露により、健康や環境に対する影響が懸念されることもあります。具体的には、以下のようなデメリットが挙げられます。
水道水の残留塩素を除去する方法
水道水に含まれる残留塩素を取り除く方法はいくつかあります。使用する目的(飲用・調理・肌・ペット用など)やコスト、手間などを考慮して、自分に合った方法を選ぶことが大切です。
水道水の残留塩素除去方法と特徴
方法 | 効果 | メリット | デメリット |
---|---|---|---|
煮沸 | 沸騰により塩素とトリハロメタンを揮発 | 費用がかからない | 時間がかかる/エネルギー消費が大きい |
活性炭フィルター | 塩素や臭気、異物を吸着除去 | 手軽で即効性あり | 定期的なフィルター交換が必要 |
ビタミンC(アスコルビン酸) | 化学反応で塩素を中和 | 安全で食品にも使用可能 | 酸性のため使い過ぎに注意 |
浄水器(RO膜) | ほぼ完全に不純物を除去可能 | 精度が非常に高い | 高価でメンテナンスも必要 |
市販の除去剤(中和剤) | 中和作用で即効的に塩素を除去 | 家庭用で手軽に使える | 添加物に注意が必要な場合も |
各方法の解説と使用場面
煮沸
最も古典的で簡単な方法です。水道水を鍋などで5~10分ほど沸騰させることで、塩素を気化させて除去できます。また、トリハロメタンの揮発にも効果があります。
費用もかからず安全ですが、
- 時間がかかる
- たくさんの量を処理できない
- 電気代やガス代がかかる
などのデメリットもあります。
活性炭フィルター
市販の浄水ポットや蛇口取付型浄水器、シャワーヘッドなどに活用されるのが活性炭フィルターです。塩素の吸着力が高く、カルキ臭も除去できるため、飲用や調理用にも適しています。ただし、フィルターは定期的に交換が必要です。
個人的には活性炭フィルターで塩素除去を行うのが、一番簡単で安全で誰にでもできると考えています。
ビタミンC(アスコルビン酸)
ビタミンCは残留塩素と化学反応を起こし、中和して無害な物質に変化させます。ビタミンC粉末や錠剤を水に溶かして使用する方法があり、特にペット用水や赤ちゃんの沐浴、髪や肌の保護を目的とした場面に活用されています。
RO(逆浸透)膜浄水器
家庭用としては高価ですが、極めて高いろ過精度を誇るのがRO膜浄水器です。塩素を含むあらゆる不純物を分子レベルで除去可能で、純水に近いレベルの水を生成できます。定期的なフィルター交換や維持費が必要です。
ROタイプの浄水器も販売されています。
市販の除去剤(中和剤)
観賞魚用のカルキ抜き剤や浄水用の中和薬剤など、ドラッグストアやホームセンターで簡単に入手できます。手軽に使用でき即効性がありますが、製品によっては添加物が含まれているため、飲用用途には注意が必要です。
目的別のおすすめ除去方法
- 飲料水として使いたい: 活性炭フィルター、RO浄水器、煮沸
- 赤ちゃんのミルク用: RO浄水器、ビタミンC、煮沸
- ペットや観賞魚用: ビタミンC、除去剤
- 肌や髪の保護(シャワー): ビタミンC入りシャワーヘッド、活性炭フィルター
まとめ
水道水に含まれる残留塩素は、安全な水の供給に不可欠な存在ですが、使用目的によっては取り除いた方がよい場合もあります。煮沸、活性炭、ビタミンC、RO膜、除去剤などさまざまな手段がありますので、用途やライフスタイルに合った方法を選びましょう。
特に飲料や赤ちゃん・ペットなど繊細な使用には、できるだけ確実に除去できる方法を選ぶのがポイントです。より快適で安全な水生活のために、一度ご家庭の水の使い方を見直してみてはいかがでしょうか。
以上、最後までお読みいただき、ありがとうございました。