ろ過マイスター

液体のろ過、純水など、元フィルターメーカーの営業マンが情報を発信するブログ

【水道水の残留塩素(カルキ)の除去方法5選】おすすめは活性炭フィルター

私たちが普段飲んでいる水道水には、衛生管理のために「残留塩素」が含まれています。塩素は細菌の役割を果たしており、公共の水道管理において非常に重要な存在です。

しかし一方で、塩素は特有のニオイ(カルキ臭)や味の違和感があります。また魚を飼っている水槽の水として使用する場合、残留塩素は魚に良くない影響を与えます。

このような背景から、「できるだけ塩素を取り除いた水を使いたい」と考える人が増えており、特に飲料水、赤ちゃんのミルク、ペットの水やアクアリウム用途では、残留塩素を除去することが重要視されています。

浄水器ウォーターサーバーが流行っているのも、こういった理由ですね)

この記事では、水道水から残留塩素を除去する代表的な方法と、それぞれの効果・メリット・注意点を詳しく解説していきます。

■この記事を書いた人■
元水処理・フィルターメーカーの営業マン。15年間の勤務経験を活かし、ろ過や水処理について情報を発信中。現在は、フリーで工場のろ過、水処理のコンサルタントを行っている。一男一女の父。46歳。

 

水道水に含まれる残留塩素とは?

日本の水道法では、水道水には最低でも0.1mg/L以上の残留塩素が必要と定められています。これは、配水管を通じて各家庭に届くまでの間に、水質が悪化しないよう維持するためです。

残留塩素は、水道水の安全性を担保するうえで欠かせない成分ではありますが、一方で長期間の摂取や高濃度な曝露により、健康や環境に対する影響が懸念されることもあります。具体的には、以下のようなデメリットが挙げられます。

  • 特有のカルキ臭や苦味がある
  • トリハロメタンなどの副生成物が発生する可能性
  • 肌・髪への刺激や乾燥の原因となる
  • 観賞魚や植物には有害な場合がある

水道水の残留塩素を除去する方法

水道水に含まれる残留塩素を取り除く方法はいくつかあります。使用する目的(飲用・調理・肌・ペット用など)やコスト、手間などを考慮して、自分に合った方法を選ぶことが大切です。

水道水の残留塩素除去方法と特徴

方法 効果 メリット デメリット
煮沸 沸騰により塩素とトリハロメタンを揮発 費用がかからない 時間がかかる/エネルギー消費が大きい
活性炭フィルター 塩素や臭気、異物を吸着除去 手軽で即効性あり 定期的なフィルター交換が必要
ビタミンC(アスコルビン酸 化学反応で塩素を中和 安全で食品にも使用可能 酸性のため使い過ぎに注意
浄水器(RO膜) ほぼ完全に不純物を除去可能 精度が非常に高い 高価でメンテナンスも必要
市販の除去剤(中和剤) 中和作用で即効的に塩素を除去 家庭用で手軽に使える 添加物に注意が必要な場合も

各方法の解説と使用場面

煮沸

最も古典的で簡単な方法です。水道水を鍋などで5~10分ほど沸騰させることで、塩素を気化させて除去できます。また、トリハロメタンの揮発にも効果があります。

費用もかからず安全ですが、

  • 時間がかかる
  • たくさんの量を処理できない
  • 電気代やガス代がかかる

などのデメリットもあります。

活性炭フィルター

市販の浄水ポットや蛇口取付型浄水器、シャワーヘッドなどに活用されるのが活性炭フィルターです。塩素の吸着力が高く、カルキ臭も除去できるため、飲用や調理用にも適しています。ただし、フィルターは定期的に交換が必要です。

個人的には活性炭フィルターで塩素除去を行うのが、一番簡単で安全で誰にでもできると考えています。

ビタミンC(アスコルビン酸

ビタミンCは残留塩素と化学反応を起こし、中和して無害な物質に変化させます。ビタミンC粉末や錠剤を水に溶かして使用する方法があり、特にペット用水や赤ちゃんの沐浴、髪や肌の保護を目的とした場面に活用されています。

RO(逆浸透)膜浄水器

家庭用としては高価ですが、極めて高いろ過精度を誇るのがRO膜浄水器です。塩素を含むあらゆる不純物を分子レベルで除去可能で、純水に近いレベルの水を生成できます。定期的なフィルター交換や維持費が必要です。

ROタイプの浄水器も販売されています。

市販の除去剤(中和剤)

観賞魚用のカルキ抜き剤や浄水用の中和薬剤など、ドラッグストアやホームセンターで簡単に入手できます。手軽に使用でき即効性がありますが、製品によっては添加物が含まれているため、飲用用途には注意が必要です。

目的別のおすすめ除去方法

  • 飲料水として使いたい: 活性炭フィルター、RO浄水器、煮沸
  • 赤ちゃんのミルク用: RO浄水器、ビタミンC、煮沸
  • ペットや観賞魚用: ビタミンC、除去剤
  • 肌や髪の保護(シャワー): ビタミンC入りシャワーヘッド、活性炭フィルター

まとめ

水道水に含まれる残留塩素は、安全な水の供給に不可欠な存在ですが、使用目的によっては取り除いた方がよい場合もあります。煮沸、活性炭、ビタミンC、RO膜、除去剤などさまざまな手段がありますので、用途やライフスタイルに合った方法を選びましょう。

特に飲料や赤ちゃん・ペットなど繊細な使用には、できるだけ確実に除去できる方法を選ぶのがポイントです。より快適で安全な水生活のために、一度ご家庭の水の使い方を見直してみてはいかがでしょうか。

以上、最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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