ろ過マイスター

液体のろ過、純水など、元フィルターメーカーの営業マンが情報を発信するブログ

プールと海水浴、どっちの水が汚い?水質を徹底比較!

夏が近づくと、子どもから大人まで多くの人が楽しみにしているのが「水遊び」です。中でも定番なのがプールと海水浴ですが、いざ出かける前に気になるのが「水の清潔さ」。果たして、どちらの水の方が“汚れている”のでしょうか?

特にプールの場合、狭い空間にたくさんの人が入っているので水質が気になります。

この記事では、プールと海水浴場それぞれの水質や衛生管理の実態を比較し、「どちらが安心して楽しめるのか?」という疑問に科学的・実務的な観点から迫ります。

■この記事を書いた人■
元水処理・フィルターメーカーの営業マン。15年間の勤務経験を活かし、ろ過や水処理について情報を発信中。現在は、フリーで工場のろ過、水処理のコンサルタントを行っている。一男一女の父。46歳。

 

プールの水は人工的に管理された「消毒水」

塩素による殺菌が義務化

日本の公衆プールでは、水道法や衛生管理基準により塩素濃度を0.4〜1.0mg/Lに保つことが義務づけられています。

この塩素により、大腸菌ノロウイルスレジオネラ菌などの病原菌は死滅。基本的には「清潔」と言える水環境です。

ただし“汚れる”要素も

  • 人の汗、皮脂、尿、髪の毛
  • プールでの嘔吐や排泄物事故
  • 利用者の多さによる混雑

これらにより、塩素では除去できない汚れ(アミノ酸尿素)が蓄積されることも。濾過・入れ替え頻度が不十分な施設では、衛生状態が悪化する可能性もあります。

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海水浴場の水は自然任せ

自然の浄化力と“汚染源”の共存

海水は波や潮の流れによって循環しているため、一定の浄化作用があります。しかし、一方で以下のような「汚れ」の要因も多く存在します。

  • 生活排水や雨水の流入(特に都市部)
  • 近隣の河川からの汚染物質
  • クラゲや海藻、魚の排泄物

水質調査結果の一例(2024年夏)

海水浴場 大腸菌数(CFU/100mL) 水質判定
鎌倉 由比ヶ浜(神奈川) 230 適(B)
逗子海岸(神奈川) 41 良(A)
沖縄 北谷町サンセットビーチ 15 優(AA)

多くの海水浴場は水質検査を受けていますが、雨の日の直後などは一時的に水質が悪化することがあります。

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「汚い」の定義によって結論は変わる

消毒・殺菌重視ならプールが有利

微生物・ウイルスなど感染症リスクを最小化したい場合、塩素管理されたプールの方が清潔です。特に赤ちゃん連れや高齢者には安心です。

化学物質の影響を気にするなら海が自然

逆に、塩素や消毒副生成物(トリハロメタンなど)を避けたい人には、自然の海水の方が「体にやさしい」とも言えます。

どちらが汚い?水質比較のまとめ

項目 プール 海水浴場
殺菌処理 塩素で徹底殺菌 自然の浄化作用のみ
大腸菌リスク ほぼゼロ(塩素処理) 雨天後などはリスク増
化学物質 トリハロメタン等の副生成物あり なし(自然水)
利用者由来の汚れ あり(汗・皮脂・尿) 比較的分散されやすい
管理状況 施設次第(濾過・水替え) 自然任せ+自治体の水質検査

結論:どちらもメリット・デメリットがある

「プールと海、どちらの水が汚いか?」という疑問に対して、一概に海が不衛生・プールが安全とは言えません

それぞれに特徴があり、目的や体調・年齢・時期(台風後など)に応じて適切な選択をすることが重要です。

安心して水遊びを楽しむために

  • プールでは塩素臭が強すぎないか、濾過が適切かを確認
  • 海水浴では「水質AA・A評価」の海岸を選ぶ
  • どちらでも口や目をこすらない、シャワーを浴びるなど基本的なケアを忘れずに

まとめ

プールと海、どちらにも“汚れ”は存在しますが、その性質が異なります。プールは管理された「人工的な清潔さ」、海は自然に委ねた「ナチュラルな浄化力」です。最終的には、施設の管理状態と利用者のマナー、当日の気象条件が決定要素となります。