ろ過マイスター

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「部品洗浄後に残る白い汚れの正体とは?シリカとカルシウムの見分け方と対策」

金属や樹脂部品を洗浄した後に、表面に白っぽい汚れやくもりが残ってしまうことがあります。「見た目が悪い」「後工程に影響する」など、製造現場では軽視できない問題です。この白い汚れ、実は多くの場合「シリカ」または「カルシウム」が原因となっています。

いずれも水に溶けている成分ですが、乾燥後に残留しやすく、工程によっては完全に除去するのが難しいことも。本記事では、部品洗浄後に発生する白い汚れの原因や見分け方、対処方法について、現場経験者の視点からわかりやすく解説します。

■この記事を書いた人■
元水処理・フィルターメーカーの営業マン。15年間の勤務経験を活かし、ろ過や水処理について情報を発信中。現在は、フリーで工場のろ過、水処理のコンサルタントを行っている。一男一女の父。46歳。

 

部品洗浄後に出る白い汚れの正体とは?

製造業や整備作業で部品洗浄後に残る「白い汚れ」に悩まされることはありませんか?一見すると水滴の乾いた跡のようにも見えるこの白い汚れは、洗浄工程の水質や乾燥方法に原因があるケースが多く、見た目の問題だけでなく、再汚染や品質不良の原因にもなり得ます。

本記事では、この白い汚れの主な原因である「シリカ」と「カルシウム」の違いや、それぞれの特徴、除去方法まで詳しく解説します。

白い汚れの主な原因は?

シリカ(SiO₂:二酸化ケイ素)

  • 水に微量に含まれる自然由来の無機成分
  • 揮発しないため、乾燥後に白い膜やシミとして残る
  • 酸にもアルカリにも溶けにくく、除去が困難

② カルシウム(Ca:カルシウムイオン)

  • 水道水や井戸水に含まれる硬度成分の一つ
  • 乾燥により炭酸カルシウムとして白く残る
  • 弱酸(酢酸、クエン酸など)で比較的簡単に除去できる

見分け方のポイント

成分 見た目の特徴 性質 簡易除去方法
シリカ 薄く白っぽい膜/にじむような模様 酸・アルカリ・有機溶剤に難溶 専用のシリカ除去洗剤、RO水洗浄
カルシウム 白く粉をふいたような輪ジミ/硬い結晶状 酸性に弱い(溶けやすい) 酢、クエン酸、スケール除去剤など

どちらが多い?水質による傾向

水質によって、シリカとカルシウムの濃度は大きく異なります。以下は一般的な傾向です。

  • 井戸水:シリカ・カルシウムともに高濃度の傾向。特に深井戸は要注意。
  • 水道水(軟水地域):カルシウムが少ないがシリカは含まれる場合あり。
  • 水道水(硬水地域):カルシウム残留の影響が目立つ。

シリカ汚れ対策

洗浄工程の改善策

  • 最終すすぎにRO水(逆浸透膜ろ過水)を使用する
  • 乾燥工程を高温・短時間に変更し、水分の残留を最小限に
  • 乾燥直前にイオン交換水や純水ですすぐ

除去方法

  • 市販のシリカ除去剤(キレート剤入り)を使用
  • 超音波洗浄+アルカリ洗浄の組み合わせ
  • 理研磨(最終手段)

カルシウム汚れ対策

予防方法

  • 水道水を使用する場合は軟水化処理(イオン交換樹脂)を導入
  • 洗浄水の交換頻度を高め、スケールの蓄積を抑制

除去方法

  • 家庭用では酢やクエン酸で溶解できる
  • 工業用途ではスケール除去剤(酸性洗剤)を利用

まとめ

部品洗浄後の白い汚れの主な原因は「シリカ」か「カルシウム」です。シリカは落としにくく、純水・RO水の導入が効果的。一方、カルシウムは酸で除去しやすく、軟水処理で予防が可能です。

どちらも水質分析を行うことで原因特定が容易になるため、繰り返し汚れが発生する場合は水質検査や洗浄工程の見直しをおすすめします。

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