夏になると多くの人が訪れる海水浴場。「きれいな海で泳ぎたい」と誰もが思いますが、実際に海水浴場の海水は本当にきれいなのでしょうか?
私自身「膨大な水の量だから大丈夫だろう」と思いつつ、心のどこかで「これはあまりきれいではないだろ」と思ったりしていました。
そこで今回は、海水浴場の水質について、検査基準や地域差、注意点を交えて解説します。
海水浴場の海水はきれいなのか?
多くの海水浴場は安全基準を満たしている
日本国内の多くの海水浴場では、都道府県や市町村が定期的に水質検査を実施しており、「水質判定A以上」の海岸も数多く存在します。
ただし、天候や人の多さ、周辺の生活排水などによって水質は変動するため、常に注意は必要です。
水質検査の内容と基準
検査項目
水質のランク分類(環境省)
ランク | 判定基準 |
---|---|
AA | 非常に良好(大腸菌群ほぼ検出されず、透明度も高い) |
A | 良好(安全性に問題なし) |
B | 注意(遊泳は可能だが改善が必要) |
C | 不適(遊泳に適さない可能性あり) |
ほとんどの有名な海水浴場ではAAまたはAランクが維持されています。当然と言えば当然ですよね。
日本の海水浴場・水質ランキングTop10
環境省による水質評価で「水質AA」(最高ランク)を保持し、その中でも化学的酸素要求量(COD)が低い順に選ばれた、全国トップ10の海水浴場を紹介します。※川・湖を含む場合あり
トップ10水質ランキング一覧
順位 | 場所 | 都道府県 | 特徴 |
---|---|---|---|
1〜8位(同率) | 大瀬・島郷・井田・平沢(らららサンビーチ) | 静岡県沼津市 | 駿河湾海域でCOD<0.5㎎/L |
1〜8位(同率) | 底土 | 東京都 八丈島 | 人工砂浜、透明度高い |
1〜8位(同率) | 大村海岸 | 東京都 小笠原村 | 透明度抜群 |
1〜8位(同率) | 大久保浜 | 東京都 三宅村 | 火山島の黒砂が特色 |
1〜8位(同率) | 田沢湖 | 秋田県 仙北市(湖) | 日本最深カルデラ湖 |
9位 | 高松 | 宮崎県 串間市 | 波穏やかでSUPに最適 |
10位 | 須美江・栄松 | 宮崎県 延岡・日南市 | 遠浅、静かな海 |
10位 | 本村前浜 | 東京都 新島村 | 離島の白砂ビーチ |
10位 | 広田海水浴場 | 岩手県 陸前高田市 | 東北屈指の透明度 |
水質ランキングの解説
- トップ8は全てCODが0.5㎎/L未満の「AA」ランク。静岡県沼津市(駿河湾)に4カ所、東京都の離島に4カ所が選ばれています 。
- 9位の宮崎「高松」は波が穏やかで、CODも0.5㎎/Lと良好 。
- 10位には宮崎の別ビーチ2カ所、東京・新島の白砂ビーチ、東北・岩手の透明度高い海水浴場がランクイン 。
日本全国で最も水がきれいな海浴場Top10は、駿河湾や離島の自然豊かなエリアが中心。
透明度や水質安全性を重視するなら、これらの海水浴場は間違いなくおすすめです。ただし、実際の水質は天候や季節、人出によって変動するため、訪問前には自治体や環境省の最新情報をチェックするようにしてください。
きれいな海水浴場の特徴
透明度が高い
水深1mで海底が見える場所は、一般に透明度が高く、浮遊物が少ないと考えられます。
周辺に川や工場が少ない
生活排水や産業排水の影響を受けにくい場所では水質が安定しています。工場排水は厳しい規制値があって処理したものを河川や海に放流していますが、大量に流れている場合は多少なりとも海水の水質に影響を与えます。
定期的に清掃活動が行われている
地域住民やボランティアによる清掃活動が盛んな場所では、漂着ゴミや海洋プラスチックが少ない傾向にあります。
注意すべき点
天候の影響
雨が降ると、都市部では道路や排水溝の汚れが川に流れ込み、海へと流出する「都市型水質汚濁」が起こることがあります。
人出の多い時期
お盆や3連休などで混雑する海水浴場では、ゴミや油膜などの発生率が高まるため注意が必要です。
クラゲや藻類の繁殖
一見きれいに見えても、夏場はクラゲの大量発生やアオコ(藻類)が増えることもあります。これは水質よりも生態環境の変化によるものです。
おすすめの行動
水質情報を事前にチェック
環境省や各自治体のホームページでは、海水浴場ごとの最新水質情報が公開されています。
混雑を避けて訪れる
朝早くや平日の利用がおすすめです。混雑が少ないほど水の濁りや汚染が軽減されます。
水質のよい地域を選ぶ
例年「水質AAランク」の常連である海岸(沖縄県の一部、和歌山・静岡・新潟・福井など)を選ぶと安心です。
まとめ
海水浴場の海水は、基本的に定期検査により安全性が確保されていますが、天候・人出・地域環境によって大きく左右されます。清潔で安全な海で楽しむためにも、事前の情報収集とマナーある利用が求められます。
「きれいな海かどうか」は、見るだけでなく、データと体感の両方で判断するのがポイントです。