ろ過マイスター

液体のろ過、純水など、元フィルターメーカーの営業マンが情報を発信するブログ

【水道水は危険がいっぱい⁉】トラブル事例と安全対策を解説

蛇口をひねれば当たり前のように出てくる水道水。日本では「世界でもトップクラスに安全」と言われていますが、その安全神話に揺らぎが生じています。

2025年4月、群馬県神流町で発生した水道水による食中毒事件は、私たちが信じてきた“安全な水”に対して警鐘を鳴らす出来事でした。

水道がよほど濁ったりすれば異常は分かりますが、普段通りの透明な水だと問題のある水道水でも飲んでしまいますよね。

我が家も子供がいるので、何らかの対策をしなければ・・と考えています。

この記事では、事件の概要をもとに、水道インフラの老朽化がもたらすリスクや、私たちの生活に潜む見えない危険性について考えていきます。

■この記事を書いた人■
元水処理・フィルターメーカーの営業マン。15年間の勤務経験を活かし、ろ過や水処理について情報を発信中。現在は、フリーで工場のろ過、水処理のコンサルタントを行っている。一男一女の父。46歳。

 

水道水を飲んで食中毒になったトラブル

2025年4月、群馬県神流町の住民14名が、下痢や腹痛などの症状を訴えて医療機関を受診。保健所の検査によって、カンピロバクターによる集団感染と判明しました。
驚くべきことに、感染源は町内で供給されていた水道水

原因は、浄水処理されていない水が配管に混入したことであり、老朽化した設備が背景にあったと報じられています。

「水道水は安全」と私も考えていますが、インフラの老朽化のことを考えると、今後も水道水の水質について疑問は残りますね。「本当に水道水は大丈夫なのか・・?」という感じで。

何が原因で水道水の水質に問題が発生したのか

日本では、1960年代~70年代にかけて水道網が急速に整備されました。ところが現在、当時の配管の多くが50年以上経過しており、寿命を迎えています。

項目 内容
配管の耐用年数 約40年(材質によって異なる)
全国の老朽配管率 約15%以上が法定耐用年数を超過(2024年時点)
更新ペース 年間0.6%(100年かかる計算)

インフラの更新に100年かかるって・・それまでずっと水道水の水質に疑念を抱かなければならないの?という感じですね。

水道インフラ修繕にかかる費用は?

蛇口をひねれば当たり前のように出てくる水道水。しかしその裏では、老朽化する水道インフラの維持・修繕に、膨大なコストがかかる。

それらはずべて税金でまかなわれるわけですが。

日本全国の修繕・更新に必要な費用

厚生労働省国土交通省の試算によれば、今後約40年間で日本の水道施設全体の更新費用は約100兆円規模に達すると見込まれています。

項目 想定費用 補足
配水管の更新 約37兆円 老朽化した全国の管路を対象
浄水場・給水施設の更新 約21兆円 耐震化・省エネ化を含む
下水道を含む関連インフラ 約42兆円 マンホール・ポンプ場など

地方自治体の財政負担

日本の水道事業は、基本的に自治体が運営しています。修繕費の大部分は水道料金収入や国の補助金で賄われますが、人口減少と収益減少により、地方ほど維持が困難になっています。

  • 自治体の約4割が「赤字水道」
  • 設備更新のために水道料金を10〜40%値上げした事例も
  • 水道事業の民間委託や広域連携が進行中

一例:老朽配管の交換にかかる費用(1kmあたり)

工事内容 概算費用(1km) 備考
配水管の交換(アスファルト舗装含む) 約1.2〜2億円 掘削〜復旧まで一連の作業
水道メーター・バルブ類の更新 約500万〜1,000万円 戸建エリアの一斉交換

水道料金は上がるが、水の安全は?

老朽インフラを更新するには多額の費用がかかります。そのため、多くの自治体では水道料金の引き上げを余儀なくされています。

しかし、財政難や人口減少などにより、思うように更新が進まない地域も多いのが実情です。

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配管が破損したら水道水はどうなる?

普段は意識しない水道配管。しかし、ひとたび破損が起これば、水道水の「安全性」に直結するトラブルに発展します。この記事では、配管破損時に水質がどう変化するのか、実際の例や対策も含めて解説します。

異物・細菌の混入

破損した箇所から、地中の細菌、土砂、有機などが水道管内に混入する恐れがあります。特に雨天時や生活排水の近くでは、汚染のリスクが高まります。

代表的な感染リスク:

赤水・黒水などの濁り水

老朽化した鉄管が破損した場合、管内の錆(さび)やマンガンが流れ出し、水が赤く濁ることがあります。見た目や味、臭いにも異常が生じることがあります。

残留塩素の減少

破損による漏水や停滞により、水中の塩素濃度が低下する場合があります。これにより、消毒効果が落ち、細菌が増殖するリスクが高まります。

サクション(逆流)現象の発生

水圧が急激に下がることで、破損箇所から外部の水や空気が管内に吸い込まれる現象が起こることがあります。これにより、汚水や地下水が逆流し、広範囲で水質悪化を引き起こす可能性があります。

実際に起きたトラブル事例

地域 原因 影響
2025年 群馬県神流町 浄水されていない水の混入 カンピロバクターで14人が食中毒
2023年 東京都某所 老朽管の破損 赤水・異臭発生、飲用停止措置
2018年 北海道地震 配管破損と逆流 断水復旧後に細菌検出、煮沸指示

家庭でできる!水道トラブルに備える5つの対策

配管の破損や老朽化による水質トラブルは、いつどこで起きても不思議ではありません。安心して暮らすために、私たちが家庭でできる水道水の安全対策をまとめました。

異変を感じたら「まず確認」

  • 水が濁っている(赤水・白濁・黒水)
  • 水のニオイが変わった(鉄臭、カビ臭、薬品臭)
  • 蛇口から出る水の勢いが不自然

上記のような異変があったら、飲用を避け、自治体の水道局に通報しましょう。断水後や工事の後も要注意です。

浄水器の導入

水道水をより安全にするために、浄水器の使用をおすすめします。用途に応じた選び方が重要です。

タイプ 特長 主な対象物質
蛇口直結型 手軽に設置、交換も簡単 塩素、濁り、臭い
据え置き型(活性炭+中空糸膜 より高性能で安心 細菌、鉛、カビ臭、トリハロメタン
RO(逆浸透)タイプ 超高性能、放射性物質・PFASにも対応 ウイルス、重金属、化学物質

非常時のための水の備蓄

災害や水道管破損時に備え、飲料水の備蓄は必須です。

  • 飲料水は1人あたり1日3L × 3日分が目安
  • 長期保存水(5年保存可)やポリタンクに常備
  • 風呂の残り湯も生活用水として活用

煮沸消毒の活用

水質に不安がある場合は沸騰後1分以上加熱で多くの細菌・ウイルスを除去できます(ただし化学物質には効果がありません)。

地域の水質情報を定期的にチェック

自治体の水道局では、水質検査結果を定期的に公開しています。特に次の項目をチェックしましょう:

「○○市 水道 水質 検査結果」で検索すると、自治体の公式情報にたどり着けます。

水道インフラは“見えないリスク”を抱えている

群馬県神流町での事件は、日本の水道システムが“万能ではない”ことを示す象徴的な出来事でした。表面上は透明できれいに見える水でも、その背景には老朽インフラという大きな課題があります。

私たち一人ひとりが「自分でできる水の安全対策」に目を向けることが、これからの安心な生活に繋がっていくはずです。

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