ろ過マイスター

液体のろ過、純水など、元フィルターメーカーの営業マンが情報を発信するブログ

【スーパーや薬局で提供されている純水の正体は?】安全性を詳しく解説

最近では、スーパーやドラッグストア(薬局)で「無料で水がもらえるサービス」が一般的になりました。

買い物ついでに立ち寄って専用のボトルで水を汲む光景は、今や日常の一部となっています。私もスギ薬局の水提供サービスを利用していますが、水にクセがなくておいしいお水ですね。

本記事では、こうした水サービスの種類、味の特徴、そしてお店ごとの違いについて詳しく解説します。

■この記事を書いた人■
元水処理・フィルターメーカーの営業マン。15年間の勤務経験を活かし、ろ過や水処理について情報を発信中。現在は、フリーで工場のろ過、水処理のコンサルタントを行っている。一男一女の父。46歳。

 

主な水供給サービスのあるお店と特徴

お店名 供給している水の種類 主な特徴
イオン 純水(RO水)
アルカリイオン水有料オプション)」
自社の「純水器」で逆浸透膜ろ過された安全な水。ミネラルなしでさっぱりした味。
西友 RO水(純水) 専用ボトルで無料提供。食品用に適した無味無臭の水。
ツルハドラッグ アルカリイオン水(ミネラル添加タイプ) 飲みやすく、口当たりが柔らかい。コーヒーやご飯にも向いている。
スギ薬局 RO水(純水) 硬度ゼロの軟水。赤ちゃんのミルク用にも使われる。
マツモトキヨシ 天然水風味の純水(店舗により異なる) 純水に微量のミネラルを添加したタイプもあり、すっきりとした味わい。

味の特徴と用途の違い

RO水(逆浸透膜処理水・純水)

  • 特徴:不純物やミネラルをほぼ完全に除去した「無味」に近い水
  • メリット:赤ちゃんのミルク、ペットの飲料水、炊飯、コーヒー抽出に適している
  • デメリット:ミネラルが含まれないため、人によっては「味気ない」と感じることも

アルカリイオン水・ミネラル添加水

  • 特徴:マグネシウムやカルシウムなどのミネラル分を加えることで、まろやかな味に
  • メリット:日常の水分補給、料理、お茶やコーヒーに好相性
  • デメリット:赤ちゃんのミルクには不向きな場合がある

専用ボトルと利用方法

多くの店舗では「専用ボトル(500ml〜12L)」を購入・登録することで無料もしくは低価格で水が利用できます。一度登録すれば何度でも使えるため、経済的かつ環境にやさしいサービスとして利用者が増加しています。

なぜ無料で提供されているのか?

スーパーや薬局が水を無料で提供しているのには、いくつかの理由があります。

  • 集客効果:水をもらいに来たついでに店内で買い物をしてもらうことを目的としています。実際、毎日通うことで店舗への「習慣的来店」が生まれます。
  • ロイヤルカスタマー化:専用ボトルの登録やポイント制度によって、継続的な利用者=常連客の育成につながります。
  • 地域貢献イメージの向上:「誰でも安全でおいしい水を利用できる」サービスを通じて、地域に根ざした企業としての信頼を得る狙いもあります。
  • 低コスト運用が可能:水道水を元にRO処理やミネラル添加を行うシステムは、一度導入すればランニングコストが比較的低く、維持がしやすいためです。

このように、無料といっても単なるサービスではなく、店舗側にとっては「販促」「顧客囲い込み」「ブランディング」といった経営戦略の一環なのです。

 

水の安全性は大丈夫?衛生面の取り組み

「無料で提供されている水って、本当に安全なの?」という疑問を持つ方も多いでしょう。結論から言えば、スーパーや薬局で提供されている水は、厳格な管理のもとで運用されており、安全性の面でも高い信頼性があります。

元水が水道水でそれを処理しているので安心できます。

ちなみにスギ薬局では、TDS値で処理水質を管理しています。

TDS値とは?

TDS(Total Dissolved Solids)値とは、水に溶け込んでいる「総溶解固形分」の濃度を示す数値で、mg/L(ミリグラム毎リットル)の単位で表されます。

TDSに含まれる主な物質には以下のようなものがあります:

  • カルシウム(Ca)
  • マグネシウム(Mg)
  • ナトリウム(Na)
  • カリウム(K)
  • 塩化物(Cl⁻)
  • 硫酸塩(SO₄²⁻)
  • 炭酸水素塩(HCO₃⁻)

TDS値は水の純度や味に関する指標として用いられます。一般的には次のような目安があります:

TDS値(mg/L) 水質の目安
0~50 超純水レベル(工業用・医療用)
50~150 純水・RO水、味がさっぱりしている
150~300 ミネラルウォーターに近い、やや味がある
300~500 やや硬水、地域差あり
500以上 飲用には適さない場合がある

店舗側の衛生管理体制

  • ろ過装置の定期点検:RO(逆浸透)膜やフィルターのメンテナンスが定期的に実施されています。
  • 殺菌処理の実施:紫外線殺菌ランプや活性炭処理を導入している店舗もあり、菌や異物の混入を防止。
  • 従業員による清掃:給水機本体・ノズル部分の拭き取り、洗浄作業が毎日または数日おきに行われます。
  • 定期水質検査:厚生労働省の水質基準に準拠した検査を実施し、トラブル時は即時停止されます。

利用者側の注意点

  • 専用ボトルの洗浄:長期間使いっぱなしだと雑菌の繁殖リスクがあるため、週に1回以上の洗浄・乾燥を推奨。
  • ボトルの密閉と冷蔵保存:汲んだ水は冷蔵庫に保管し、2〜3日以内に使い切るのが安全です。
  • 給水口への接触NG:ノズルにボトルの口を直接触れさせないよう注意しましょう。

トラブル時の対応

万が一、水の異臭・濁りなどが発生した場合は、各店舗で「即時停止」「ボトル交換」「機器洗浄」などの対応が取られます。多くの店舗ではお客様相談窓口も用意されており、迅速な対応が期待できます。

総じて安全なサービス

このように、無料とはいえ衛生・安全への取り組みは有料サービスと同等レベルで管理されており、安心して利用できるのがスーパーや薬局の水供給サービスの特長です。ただし、家庭での扱いが不適切だと品質が落ちることもあるため、利用者側のマナーと管理も重要です。

まとめ

スーパーや薬局で提供される水サービスは、家庭での飲用水や調理用水として非常に便利で、種類も豊富です。味や成分に違いがあるため、使用目的に応じて使い分けるのがおすすめです。日常生活の中で「水を買う」という常識が変わる今、無料水サービスは賢く活用したいサービスの一つです。

スーパーや薬局の水供給サービスに関するよくある疑問

 

Q1. 本当に無料なの?何か条件はある?

多くの店舗では「専用ボトルの購入(500円~1,000円程度)」が必要ですが、それ以降の水の補給は無料です。一部店舗では会員登録やアプリの利用が条件になる場合もあります。

Q2. どんな水がもらえるの?安全なの?

RO水(逆浸透膜で不純物を除去した純水)やミネラル添加水が主流です。店内でろ過・管理されているため、水道水よりも不純物が少なく、安全性は高いとされています。

Q3. 味はおいしいの?

純水は無味に近く、クセがないのが特徴です。ミネラルを添加しているタイプは、まろやかな味わいになるため「おいしい」と感じる方が多いです。ただし、好みには個人差があります。

Q4. ペットや赤ちゃんにも使える?

RO純水はミネラル成分がほぼ含まれていないため、赤ちゃんのミルク作りやペットの飲み水にも適しています。ただし、ミネラル添加水は赤ちゃんには不向きな場合があるため注意が必要です。

Q5. 冷蔵庫で保存できる?どのくらい持つ?

保存期間の目安は冷蔵庫で2~3日。空気や雑菌が入ると劣化が早まるため、こまめに洗浄した清潔なボトルを使いましょう。長期保存には向いていません。

Q6. 専用ボトルじゃないとダメ?

ほとんどの店舗では「専用ボトルでないと補給できない」システムを採用しています。理由は、衛生管理と流量制御のためです。使いまわしや他社製ボトルは基本的にNGです。

Q7. 料理やコーヒーに使ってもいい?

RO水やミネラル水は、炊飯・味噌汁・煮物・コーヒー・お茶などに最適です。特に味に敏感な料理(昆布だし、コーヒー抽出)では水の違いが分かりやすいと好評です。

Q8. 水はいつでも汲める?

基本的に店舗の営業時間内であれば自由に補給できますが、メンテナンスや清掃の時間帯は利用できない場合があります。深夜営業の店舗でも水サービスは夜間停止していることが多いです。

Q9. 衛生面は大丈夫?

多くの店舗では毎日ろ過装置の点検や水質チェックを行っており、安全性は高く保たれています。ただし、家庭でのボトル管理(洗浄・乾燥)が不十分だと水が傷む原因になります。

Q10. 他人と同じ機械を使うのが心配…

接触型のボトル給水口や自動洗浄機能を備えた機械も増えています。不安な方は、混雑時間帯を避ける、タオルで持ち手を拭くなどの対策を取りましょう。

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