神奈川県は、横浜・川崎といった大都市圏から、湘南や箱根といった自然豊かなエリアまで多様な地域を抱える県です。そのため、水道水の供給体制も多様で、利根川水系、相模川水系、酒匂川水系といった複数の水源を活用しながら、広域で安定した水供給が行われています。
神奈川県の水道水は、近代的な浄水技術と厳しい水質管理によって、高い安全性とおいしさを兼ね備えた品質を保っています。特に、オゾン処理や活性炭処理を導入している浄水場も多く、残留塩素臭や有機物を効果的に除去しています。
本記事では、神奈川県の水道水の水源構成、シリカや硬度などのミネラル成分、TOC(全有機炭素)値といった水質の詳細に加え、水道料金や浄水器の必要性などについても、各市町のデータをもとに詳しく解説していきます。
神奈川県の水道水と他地域との硬度比較
水の硬度は、カルシウムやマグネシウムの含有量を示す指標で、味や健康に影響を与えます。
地域 | 硬度(mg/L) | 分類 |
---|---|---|
神奈川県 | 約64 | 中程度の軟水 |
東京都 | 60~80 | 軟水 |
大阪市 | 40~50 | 軟水 |
神奈川県の水道水は、全国的に見ても軟水であり、まろやかな味わいが特徴です。
シリカの有無
地域(水道事業体) | 主な水源 | シリカ濃度(目安) |
---|---|---|
横浜市水道局 | 相模川水系 | 約15〜25 mg/L |
川崎市上下水道局 | 多摩川水系 | 約10〜20 mg/L |
相模原市水道局 | 相模湖・地下水 | 約20〜30 mg/L |
横須賀市上下水道局 | 地下水主体 | 約30〜40 mg/L |
平塚市上下水道局 | 相模川 | 約15〜25 mg/L |
小田原市水道局 | 酒匂川・地下水 | 約25〜35 mg/L |
シリカ(二酸化ケイ素)は、水中に含まれるミネラルの一種で、健康や美容に関心のある方に注目されています。神奈川県の水道水にもシリカが含まれており、特に地下水を水源とする地域ではその含有量が高い傾向にあります。
相模原市、横須賀市、小田原市の水道水は、シリカ濃度が20mg/Lを超えているので、全国的に見てもシリカ濃度が高いと言えます。
原水と水道水のTOC値
水源名 | 主な供給地域(例) | TOC値(mg/L)目安 |
---|---|---|
相模川 | 横浜市、平塚市など | 約1.5〜3.0 mg/L |
酒匂川 | 小田原市など | 約1.0〜2.0 mg/L |
多摩川 | 川崎市など | 約1.0〜2.5 mg/L |
地下水(横須賀) | 横須賀市など | 約0.5〜1.5 mg/L |
TOC(Total Organic Carbon)は、水中の有機物の総量を示す指標で、水質の清浄度を評価する際に用いられます。神奈川県では、原水のTOC値が高い場合で3.0mg/Lとなっています。
この3.0mg/Lという数値は、少し高いですね。TOC値が高いと浄水場で高度処理が必要であったり、塩素を多く添加する必要があるため、水道水の味や臭いに影響を与えます。
他地域との水道料金の比較
水道料金は地域によって異なります。以下は、神奈川県内の一部地域の水道料金の比較です(1か月あたり20m³使用時)。
市区名 | 水道料金(円) | 県内順位 | 全国順位 |
---|---|---|---|
南足柄市 | 2,013 | 1位 | 9位 |
秦野市 | 2,486 | 2位 | 31位 |
座間市 | 2,824 | 3位 | 79位 |
神奈川県内では、水道料金が比較的安価な地域が多く、全国的にも低水準です。
浄水場の処理工程(高度処理の有無)
神奈川県の多くの浄水場では、高度浄水処理が導入されています。これは、従来の浄水処理に加え、オゾン処理や活性炭処理を行うことで、異臭味物質や有機物を効果的に除去する方法です。これにより、水道水の安全性が向上しています。
味については何とも言えません。
浄水器の必要性
神奈川県の水道水は、高度浄水処理により安全性が確保されており、そのまま飲用しても問題ありませんが、原水のTOC値が高いので塩素臭が気になる場合は、浄水器の使用を検討するのも一つの方法です。
活性炭入りの物がおすすめです。
口コミ
神奈川県の水道水に関する口コミは、「エリアによって差がある」「基本的に飲めるがにおいが気になることがある」といった声が多く見られます。特に都市部では「塩素臭が強い」と感じる人もいる一方で、「思ったよりおいしい」「東京よりもまし」といったポジティブな意見もあります。
- 「横浜市在住ですが、水道水に塩素のにおいを強く感じる日があって、そのまま飲むのは少し抵抗があります。」
- 「川崎市の水は割とおいしくて、東京にいたときよりも飲みやすく感じます。」
- 「鎌倉では水が柔らかくてまろやか。特に朝一番の水は冷たくて気持ちいいです。」
- 「厚木市の実家では鉄っぽいにおいがすることがあり、浄水器を通して使っています。」
- 「相模原市に引っ越してきましたが、水が意外とクリアで飲みやすく、今のところ不満はありません。」
神奈川県は水源が複数(相模川、酒匂川、丹沢山系の地下水など)あり、地域によって水質や味が異なるため、住民の評価にもばらつきがあります。大都市圏では安全性確保のため塩素濃度が高めに設定されており、それが「におい」として感じられる原因のひとつです。
また、マンションなどの集合住宅では貯水タンクを経由して水が供給されることが多く、老朽化やメンテナンス不足によるにおい・濁りに不満を持つ声も一定数あります。
総じて、「そのままでも飲めるが、より安心・おいしさを求めるなら浄水器があったほうがよい」と考えている家庭が多く、実際に浄水器やウォーターサーバーを併用する人が増えています。
関連リンク
水道水のろ過や浄水器に関する詳しい情報は、以下の記事をご参照ください。