私たちの生活に欠かせない「水」ですが、同じ水でも「水道水」と「純水」では性質や用途がまったく異なります。
普段何気なく使っている水道水と、工業や洗車
などで使用される純水の違いを正しく理解することは、家庭や職場での水の選択や活用方法を見直すきっかけにもなります。
本記事では、純水と水道水の違いを成分・処理方法・用途などさまざまな観点から比較し、それぞれの特徴と適した使い方について詳しく解説します。
そもそも水道水とは?
水道水とは、公共の浄水場でろ過・沈殿・消毒などの工程を経て供給される飲料水のことを指します。
日本の水道水は世界でもトップレベルの品質を誇り、蛇口から直接飲める数少ない国のひとつです。水道法に基づき厳しい基準が設けられており、塩素による殺菌処理で安全が保たれています。
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純水とは何か?
純水(Pure Water)とは、水に含まれるイオン・有機物・微生物・微粒子などを可能な限り取り除いた水のことです。
一般的にはRO膜(逆浸透膜)やイオン交換、電気再生方式(EDI)などの高性能な水処理技術を組み合わせて生成されます。
高い純度が求められる医薬品製造、半導体洗浄、化粧品製造などで使用されます。
純水と水道水の違いを比較
純水と水道水の違い 比較表
項目 | 水道水 | 純水 |
---|---|---|
水の定義 | 飲用を目的に消毒処理された公共水 | ほぼすべての不純物を除去した水 |
不純物の量 | カルシウム、マグネシウム、塩素、微量金属など含む | イオン、細菌、有機物などをほぼ除去済み |
導電率 | 200~700μS/cm | 0.1~10μS/cm |
処理方法 | 浄水場でのろ過+塩素消毒 | RO膜、イオン交換、EDIなど |
主な用途 | 家庭、公共施設、工業用の原水 | 医薬・化粧品・半導体・洗浄用途 |
飲用の可否 | 飲用可能 | 基本的に飲用不可 |
保存性 | 比較的良好 | 雑菌の影響で保存性低い |
コスト | 安価 | 高コスト |
導電率と水の純度の関係
水の導電率は、どれだけの電気が水中を流れるかを示す指標で、イオン(無機不純物※鉄やマンガン、カルシウムなど)が多いほど数値が高くなります。
水道水は100~200μS/cm程度の導電率を持ちますが、純水は0.1~10μS/cmと非常に低く、これは水中のイオンがほとんど除去されている証拠です。
- 名古屋市の水道水:80μS/㎝
- 東京都の水道水:200μS/㎝
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なぜ純水は飲めないのか?
純水は「きれいすぎる水」とも言われ、体に悪いのでは?という声もありますが、実際に少量飲んでも人体に即座に害を及ぼすわけではありません。
しかし、純水にはミネラル分が一切含まれていないため、継続して飲むことで体内の電解質バランスに影響を与える可能性があります。
さらに、水道水のように塩素が添加されていないため、純水は保存性が非常に低く、雑菌の繁殖リスクが高まるため、飲用としては不適切です。飲料用途ではRO水やミネラルウォーターのように適切に調整された水を使うべきです。
使用用途による選び方
- 飲用や調理用: 水道水(または浄水器を通したもの)
- 電子部品や医薬品の製造: 純水(高精度な純度が必要)
- 家庭用加湿器やアイロン: 簡易純水や精製水が最適
- 洗車や窓ふき: 純水は水跡が残らないためおすすめ
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まとめ
水道水と純水は、その目的や処理方法、含まれる成分において明確に違いがあります。水道水は飲用に安全な処理が施され、家庭用に最適。
一方で、純水は不純物の極めて少ない高純度な水であり、工業や医療現場など特殊な用途で利用されます。
用途や目的に応じて正しく使い分けることで、水の性能を最大限に活用できます。今一度、あなたの使っている水が「どんな水」なのか、見直してみてはいかがでしょうか。